債券 - 香港カラフルFP

債券

債券とは定期的な決まったリターンを提供する満期が1年以上の投資手段のグループです。投資家が証券発行者(通常は企業や政府)に現金を貸し、その見返りに一定の利息支払いと満期時の元本の返済を行うことを表する証券や証書のことです。債券は企業や政府が市場から資金を借り、資金を借受ける個々の発行体の信用に応じて、その見返りである利息の大小が決められます。

債券への投資

債券はその価格が上昇する機会もありますが、一般的には当面の利益に焦点が置かれます。もし、活発なセカンダリー・マーケット(二次流通市場)があれば、満期を前にいつでも売買することが出来ます。しかしながら、もし、セカンダリー・マーケットが活発でなければ、投資家の資金はその債券の満期まで売却できず塩漬けとなってしまいます。

債券は以下の2つのカテゴリーに分けることが出来ます。
1.国債といった債務契約
2.優先株式

債券市場はいくつかの異なる分類をすることが出来ます。まず、プライマリー・マーケット(1次市場)とセカンダリー・マーケット(2次市場)に分けることが出来ます。プライマリー・マーケットでは、新しく発行される債券が市場に初めて提供されます。例えば、香港金融管理局(Hong Kong Monetary Authority)が発行するExchange Fund Notes(EFN:外匯基金債券)はプライマリー・マーケットにて入札を通して、引き受けることが出来ます。企業の社債発行は主幹事や引受団といった金融機関によって通常進められます。

既に発行された債券は店頭取引(OTC)を主とするセカンダリー・マーケットにて取引されます。店頭取引とはお互いに証券売買の交渉を行うブローカーとディーラーといった市場参加者の非公式のネットワークのことを指します。取引単位、決済日といった取引条件は、証券取引市場と反対に標準化されておらず、取引相手との交渉により決まります。しかしながら、2000年からはExchange Fund Notes(EFN:外匯基金債券)も香港証券取引所に上場されています。

債券は企業や政府が発行する資金借入の手段であり、通常、長期(1年から30年、またはそれ以上)という性質を持ちます。

債券発行者が債券保有者(投資家)に支払う2種類のキャッシュフローによっても、特徴づけることも出来ます。1つ目のキャッシュフローは定額を定期的に特定の期日まで支払うものです。2つ目は明示された期日に行う一括の支払いです。定期的な支払いはクーポンとして知られており、一括の支払いは債券の元本と知られています。

市場では様々な機関や団体が債券を発行しています。

1.超国家的債券

一般的に世界銀行として知られる国際復興開発銀行やアジア開発銀行、国際通貨基金(IMF)といった国際機関により発行されます。これらの機関により発行される債券は最低のデフォルト・リスクしかなく、とても高い品質を有します。

2.国債

政府が国民から資金を借りる財務的手段です。もっとも安全な投資で、政府により利子と元本の支払いが保障されており、ほぼデフォルトや信用リスクもありません。その信用の高さから国債の利回りは同様な満期を持つ定期収入を提供する証券の中で通常最も低い水準となっています。アメリカでは、Treasury NotesとTreasury Bondsがこれにあたり、香港特別行政区が発行する債券としてExchange Fund Notes(外匯基金債券)がこれに該当します。

3.政府機関発行債

香港でいうと、Hong Kong Mortgage Corporation(香港按揭證券有限公司)やAirport Authorityといった政府が所有したり、支援している企業が債券市場において資金調達する為に発行されます。

4.地方政府債

多くの国において地方政府も予算を実行する資金調達する為に債券を発行します。元本返済は地方政府の徴税能力か公共プロジェクトの収入に基づくものとなります。地方政府債は国債よりも高いリスクを負うこととなります。

5.社債

社債は上場・未上場企業が行う中長期の債務契約です。社債には特定の資産が担保されたものやそうではないものもあります。社債は数多くのカテゴリーに分類されます。社債の発行体は国際的にも知られる大企業から小さな企業まで幅広いです。その為、社債の性質とリスクは多様なものとなります。

額面価額

満期価額や償還価額とも呼ばれる額面価額は債券発行者が満期時に債券保有者に支払う金額を指します。債券は異なる額面価額を有することが出来ます。

転換社債

特定の債券において、投資家が額面価額か社債発行会社の株式といった他の何かを受取ることを選択する権利を有するものがあります。この種の社債は転換社債と呼ばれています。満期日またはその前に、事前に定められた価格と期日にて、社債を特定数の株式に投資家が変換する権利を付帯して発行した社債です。この転換権は特に社債が無担保の場合に、社債を投資家にとってより魅力的なものとする為のものです。転換社債は転換できるという特徴の為、一般的に転換社債ではない社債に比べて低い利息が支払われます。

クーポン・レート

クーポン・レートとは債券発行者が投資家に支払うことを約束した利率のことです。クーポンの支払いは以下のように計算されます。

 額面価額 x クーポンレート x 対象年数

例)年利8%、額面10,000ドル、利息半年払いの債券の場合、債券保有者は6ヶ月毎に400ドルを受取ることになります。クーポンの支払いの計算は以下のように行われます。

 10,000ドル x 8% x 6ヶ月/12ヶ月 = 400ドル

クーポン・レートは債券期間を通して固定される固定金利である場合と、特定の参照レートに基づいて定期的にクーポン・レートが変更される変動金利である場合があります。ほとんどの債券は固定金利のクーポン・レートで、債券発行時に決定され、債券発行後にどれだけ市場の利率が変化しても、当初に決められた利率で投資家にクーポンが支払われます。

満期までの期間

債券のほとんどは発行者が債券保有者に資金を返済する満期日を定めています。満期が1〜5年の債券を短期、5〜12年の債券を中期、12年超の債券を長期と見る投資家もいます。香港で発行される債券で10年を超えるものはまれですが、アメリカでは長期債券の満期はだいたい30年となっています。

債券の価格

1.お金の時間価値

債券の価格算定の基礎には、お金の時間価値というコンセプトがあります。それは現在のお金の価値(現在価値)と将来のその価値(将来価値)の関係性のことを指すものです。

将来価値は投資家が利息を得た後に獲得する金額です。例えば、投資家が100ドルを本日銀行に預け、利息が年利5%で複利運用されるとします。1年後の預金の将来価値は以下の数式のように、105ドルとなります。

 将来価値 = 元本 x (1+利率)^年数
 = 100ドル x (1+5%)^1年
 = 105ドル

一方、現在価値は将来のキャッシュフローの現在の金額です。もし、利率が年利5%の預金があり、1年後に100ドルを得るには、幾ら預けないとならないのかを計算してみます。現在価値は市場利率で将来価値を割引くことで求めることが出来ます。

 現在価値 = 将来価値 ÷ (1+利率)^年数
 = 100ドル ÷ (1+5%)^1年
 = 95.24ドル

これは現在95.24ドルを預金すると1年後に100ドルになり、逆に言うと、1年後の100ドルは現在では95.24ドルの価値しかないということを表しています。明日の現金より、今日の現金と言われる理由はここにあります。

2.利率

債券において、利率というのは発行者が借入れを行う際の費用です。債券の発行の度にクーポン・レートに反映されます。ほとんどの債券は固定レートとなっており、市場金利の動きに関わり無く、発行者のコストは一定であることを意味します。固定レートと反して、変動レートは不動産融資でより一般的で事前に決められたベンチマークとなる金利にリンクして上下します。

しかしながら、クーポン・レートは必ずしも債券保有者の実際のリターンであるとは限りません。債券発行後にセカンダリー・マーケットで債券を購入する投資家においてはより当てはまります。全ての投資家が債券を発行から満期まで一貫して保有したり、全てのクーポンを受取る、とは限らないからです。投資家にとってのリターンは、投資家による債券の保有期間を考慮した実効利回りである目標利益率により算出されます。

債券の価格算出には、全ての利回りは、既に受取った利息が同じ利回りで再投資されると想定する複利ベースとなっています。

3.債券価格の計算

債券の価格は、債券による得られる将来キャッシュフローを利回りで割引いた現在価値の合計となっています。期待将来キャッシュフローはクーポンの支払いと最後の元本の返済を含みます。

例えば、額面価格100ドルで満期まで2年、クーポン・レートが年2%の債券があります。そして、投資家の目標利益率は年5%です。この例では投資家は1年後にクーポン2ドルを受け取り、2年後はクーポンの2ドルと返済元本の100ドルを受取ります。投資家がこの債券に払える値段はキャッシュフローを5%の利回りで割引いた現在価値の合計が最大となります。

 債券価格 = 2ドル÷ (1+5%)^1年 + 2ドル÷ (1+5%)^2年 + 100ドル÷ (1+5%)^2年
 = 94.42ドル

価格と利回りの関係

固定クーポンの債券が発行される時、クーポン・レートは市場状況と発行時の発行者の信用度合いにより決められます。一旦、債券が発行されるとセカンダリー・マーケットの手に市場価格の決定権が移ります。時間が経ち、次の投資家により払われる価格や満期までに受取るクーポンの回数もそれぞれ異なります。市場価格、額面価格、クーポン利率と満期までの期間を考慮した投資家の純利益率はイールドと呼ばれます。時間が経つにつれ、全体の金利水準や発行者の信用水準がマクロ経済の影響や発行者の業績により変化することがあります。債券の新たな買い手は市場利回りに近い金融商品に代替する利回り(イールド)を求めることが考えられ、それは債券のクーポンとは異なっていることがあります。

市場利回りよりも高いクーポン・レートを持つ債券は、額面価格で売られているのであれば、新規購入する投資家にとって魅力的に見えます。しかしながら、そんな債券の保有者が額面価格で売ることは確実にありません。この売買を実現するには、債券価格が額面価格よりも高いものである必要があります。この状態を債券がプレミアムで売られている(sell at premium)、と呼びます。例えば、額面価格10,000ドル、5年満期、クーポン・レート10%という社債があるとします。この社債発行会社に年利8%で期間5年の融資を行おうとする投資家がいれば、10,000ドルの債券よりも高い値段を支払っている、ということです。

では、逆に、市場金利が固定クーポン・レートよりも高い場合は、額面価格よりも低い価格でしか売ることが出来ないのです。この状態を債券がディスカウントで売られている(sell at discount)、と呼びます。先ほどの例において、投資家が12%の利回りを求めている場合、クーポン・レート10%の社債は額面価格の10,000ドル以下でしか売ることが出来ません。

クーポン・レートが市場金利と等しい時だけ、債券は額面価格と同じ値段で売ることが出来ます。(sell at par)

上記の内容から、市場金利と債券価格には反対方向の関係性があることが分かります。市場金利が上昇すれば、債券価格が下降し、その逆もまた然りです。

以下の表では、異なる市場金利における20年満期債券の価格を取り上げています。(20年満期、クーポン・レート8%、額面1,000ドルの債券)

価格と利回りの関係

債券価格と市場金利の間の反対方向の関係性の他に、いくつか興味深い関係性を見ることが出来ます。

1.市場金利の上下による債券価格の変動を見てみると、市場金利が8%から10%に2%上昇した場合の変動幅は、8%から6%に同じく2%下落した場合の変動幅が同じではありません。市場金利が下落した場合、同じ幅での市場金利上昇による債券価格の下落よりも、大きく債券価格が上昇する。

2.市場金利が下落すると債券価格が加速的に上昇し、一方、市場金利が上昇すると債券価格は減速的に下落する。

イールド・カーブ

先ほどの説明のように、利率というのは、特定期間の資金利用に対する借手のコストであったり、現在の消費を後回しにすることによるリターンだったりします。一般的に、利率は3つの要素により構成されています。

  1. リスクフリーレート:デフォルト・リスクがない無リスク金融資産から得られるリターン
  2. インフレ期待:インフレーションによる購買力低下による期待損失に対する補償
  3. リスクプレミアム:債券発行者のデフォルト・リスクを負担する貸手への報酬

異なる満期を有する債券に対して、リスクプレミアムとインフレ期待は異なるものを投資家は一般的に持っています。それゆえ、異なる満期には異なる利率があり、利率とそれに対応する満期の間の関係性を表すイールドカーブにて表されます。

イールド・カーブは異なる形状を持ち得ます。

  1. 通常または正のイールドカーブ:もっとも一般的なイールドカーブ。満期までの期間が長い程、利率は上昇します。
  2. 逆アーチまたは負のイールドカーブ:満期までの期間が長い程、利率が低くなる。これは市場が将来的に利率が下がってくることを予測していることを反映しています。
  3. 平坦なイールド・カーブ:全ての満期において、利率が類似した水準にあり、安定した利率が予測されていることを反映しています。
  4. 正常でないイールド・カーブ:上記以外の形状のイールドカーブ。

イールドカーブ

市場性

これは投資家がどれだけ簡単に、価格を大きく犠牲にすることなく、債券を売却できるかということを指しています。流動性ともいいます。債券のほとんどはディーラー市場で売買され、活発に取引される債券は売値と買い値の差(ビットオファースプレッド)が活発でない債券に比べて、小さくなります。ですので、活発に取引される債券は、取引が活発でないものと比較して、低い満期利回りと高い本質的価値を有することとなります。

債券の格付け

格付けとは、債券の投資品質をアルファベットで表したもので、企業や債券発行者の信用度合いを評価することに特化した格付け会社により発行されます。その格付けはしばしば発行者のデフォルトの可能性を表したものとして見られています。多くの米国の債券発行者にとって、事前取得が求められるものであり、その債券発行価格に直接影響を与えるものです。

債券発行者は格付けを得る為に、その財務データを格付会社に提出しなくてはなりません。広く認識されている格付会社の2社が、スタンダードアンドプアーズ (S&P : Standard and Poor’s Corporation)とムーディーズ (Moody’s : Moody’s Investors Service, Inc.)です。

幅広い分類分けが用いられており、債券の格付は投資適格から投機的までの分類があります。一般的に、投資適格の債券は、上位4位までに格付された債券となっています。(S&PではAAAからBBB、ムーディーズではAaaからBaa) 対して、投機的な債券はそれより低位の格付がなされた債券です。(BB、Baまたはそれ以下) 時折、これらの低い格付がなされた証券は高イールド債やジャンク債と呼ばれます。

Moody’s S&P
投資適格
Aaa AAA 最高に安全
Aa AA 高い格付、高い信用品質
A A 中上位の格付
Baa BBB 中下位の格付
投機的
Ba BB 低い格付、投機的
B B 高く投機的
Caa CCC 大きなリスク
Ca CC デフォルトになりえる、とても投機的
C C 極めて投機的
CI 利息支払の無い債券
D デフォルト

国債市場

債券は発行された市場によっても分類分けすることが出来ます。債券発行者や投資家にとって異なる示唆を持つ債券発行の導きとなる法律や規制が様々存在します。

ドメスティック・ボンドは国内の通貨建てで同じ国に位置する企業により発行される債券です。フォーリン・ボンドはその国の通貨建てで外国企業により発行される債券です。その発行には色々な興味深い名称がつけられています。ヤンキー・ボンドはアメリカ市場にて米ドル建てで外国企業により発行された債券です。サムライ・ボンドは日本円建て債券で日本にて日本外の企業により発行されるものです。これらの債券発行には、監督官庁からの許可とその正式な申請が必要となっています。

ユーロ・ボンドは1国の通貨建てで発行され、他の国々で販売される債券です。例えば、アメリカ企業により米ドル建てで発行され、ヨーロッパで販売される債券はユーロボンドと称されます。ユーロボンドに投資する主な利点は規制や課税がないことです。

債券投資の長所

債券投資は長期投資に向いており、以下の利点を有しています。

  • 中低位のリスク
  • 流動性、市場が存在すること
  • 金融市場資産よりも高いリターン
  • 元本の保護
  • 定期的かつ確定された収入
  • デリバディブによるヘッジが可能であること

債券投資の短所

債券投資の短所は以下の通りです。

  • 高い額面:一般的な投資家にとって手が出せない高い額面の債券も存在する
  • 価格リスク:利率の変動
  • インフレリスク:固定された利率
  • 流動性:二次流通市場(セカンダリー・マーケット)がない債券もある
  • 発行体企業の利益に応じた追加利益がない
  • 発行体企業の投票権はない
  • 発行体のデフォルトリスク
  • 取引テクニックが求められることもある

優先株式

優先株は企業における持ち分を表しており、十分な利益が発生すれば固定の配当が投資家に支払われます。普通株式を有する株主と異なり、株主議決権がありませんが、普通株主に配当が支払われる前に、優先株株主には配当が支払われます。

また、優先株株主は会社清算の際に、会社資産の優先請求権を有しています。ただし、香港では優先株式はあまり一般的ではありません。

優先株への投資は、債券への投資と同じようなもので、優先株の配当は固定されたレートで行われます。しかしながら、収入が固定といえども、利息ではないため、会社が利益を生じなければ、その配当は支払われません。また、配当の面では、会社が格段に高い利益を生じたとしても、定められたレート以上の配当は支払われることがありません。優先株の株主は企業が利益を得る可能性を十分に享受するわけではないため、価格が上昇する余地が限られています。