債券市場が昨年下半期の激震を経て、今年は既に正常な状態に戻った。ハイイールド債のパフォーマンスは秀でており、これらの資産リスクは株式に比べて低いが、高い利息を得ることが出来、現在の低金利と世界経済が緩やかに回復する環状下において、投資ポートフォリオには欠かせないものとなっている。
上場取引型金融商品(ETP)の世界市場において、この頃、資金がハイイールド債券商品に戻っていることが見受けられる。資産運用会社ブラックロックによる世界の上場取引型金融商品(ETP)統計によると、今年の4月末まででハイイールド社債の上場取引型金融商品(ETP)に3ヶ月連続で資金が純流入しており、今年の当初4ヶ月累計で純流入した資金は25.67億米ドルに達し、昨年同期比で26.8%増加している。
ハイイールド債とは、一般的に信用格付がBBBかBaaより低い、投機的と分類される債券を指します。これらの債券の信用リスクは投資適格債券よりも高いので、利率を高くし、投資家を引きつける必要があります。その高利率という特徴がこの債券の名称になっています。
ブルームバークの昨年末までの資料によると、ハイイールド債の平均リターンは約6%で、投資適格クラス債券の2.9%とアメリカ国債5年物の1.7%に比べると遥かに高いものであった。現在の低金利下において、高利回り債券は安定した収益を求める投資家にとって惹かれる投資先となっている。
この他、注意に値するのは、ハイイールド債と株式との相関性である。それは、他の債券投資商品と株式の相関性よりも高いものとなっている。世界経済が持続して回復し、更に株式市場が支えられるという見込みがある現在、ハイイールド債もより高いリターンをもたらすこととなろう。
株式と債券のこれまでの中長期的な動きを見てみると、ハイイールド債のリスクとリターンはかなり理想的となっている。
ブラックロックの統計によると、2008年12月からの世界金融危機が終わり、今年3月までの5年あまりの期間で、ハイイールド債の年利回りは18.6%に達し、近年に最高値を記録したアメリカ株式を上回るものとなっている。
ブルームバーグやダウジョーンズなどの過去20年のデータによっても、ハイイールド債のリターンはスタンダード・アンド・プアーズ500(S&P500)大型株式指数の84%相当だが、ハイイールド債の変動幅はS&P500大型株式指数の60%だけとなっている。ハイイールド債は相対的に低いリスクで、株式に近いリターンを提供する可能性が高いことを示している。
ハイイールド債の市場の今後の見通しは、まだ多くの投資機会があると見受ける。まず、利率が徐々に上昇する中で、ハイイールド債はその他の債券資産を上回るパフォーマンスとなっていく。過去6年の利上げ状況下において、ハイイールド債は最も良いかそれに次ぐパフォーマンスの債券資産となっている。
また、過去数年において、企業が徐々に社債を減らし、キャッシュフローを改善するにしたがい、ハイイールド債のデフォルト率は約1%という低水準となっている。
ハイイールド債の価格がここ数年で既に上昇しており、発行体や債券クラス、投資格付毎の価格差が既に狭まっていることを考慮すると、多角的なハイイールド債の投資ポートフォリオが優れたものになると考える。クーポンレートが低い、利率に比較的敏感なBB等級の債券においては、慎重になって投資判断を行う必要がある。