「ハードカレンシー」とは、国際的な取引市場で信用があり、流通量も多く、容易に他国通貨との交換が可能な通貨のことを指し、国際通貨・国際決済通貨とも呼ばれる。
ハードカレンシーの由来は、金本位制の時代において、いつでもハード(「金」を指す硬い金属)と交換可能な通貨であることから名付けられた。
一方、ハードカレンシー以外の通貨は「ローカルカレンシー」と呼ばれます。
ハードカレンシーであるかどうかの明確な基準は存在しないため、どの通貨までをハードカレンシーに分類するのかは論者によって異なる。
国際的な信用力があることをはじめ、以下の条件がハードカレンシーである条件とされています。
国際貿易の決済には、ハードカレンシーが主に用いられます。この他、ハードカレンシーは、アジア通貨危機のような有事に備えるといった目的で、各国政府もしくは金融当局によって保有される外貨準備に組み込まれています。
外貨準備における主要通貨の比率 (2011年) | |
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ドル USD | 62.1% |
ユーロ EUR | 25.0% |
イギリスポンド GBP | 3.9% |
日本円 JPY | 3.7% |
米ドルは、どの国も保有する最も有力な準備通貨となっています。日本円も外貨準備として保有されており、数十年来3位の準備通貨でしたが、ここ十年で円の準備高割合は半減しており、2006年にはイギリスポンドに次ぐ4位の準備通貨となっています。
このように、日本円はハードカンレンシーでありながらも、年々、国際なマーケットでの信用が失われ続けています。
更に、毎年2%のインフレ・ターゲットと量的緩和を行うアベノミクスにより、円安が誘導され、日本円の価値が更に失われています。
政府総債務 対GDP比残高 (2013年) | ||
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1 | 日本 | 243.20% |
2 | ギリシャ | 175.08% |
3 | ジャマイカ | 141.64% |
4 | レバノン | 141.00% |
5 | イタリア | 132.53% |
6 | ポルトガル | 128.93% |
また、日本政府は債務を重ねており、財政危機が騒がれたPIIGS諸国であるギリシャ、イタリア、ポルトガルを押さえて、世界でずば抜けて一番高い債務残高比率となっています。
このように日本円は、確実にその価値が失われるトレンドにあり、また、世界で一番借金比率が高い国となっています。その為、価値が安くなる債務漬けの日本の国債は、国策により日本の金融機関がその多くを引き受ける他ないことから、日本国内で購入される比率が高くなっています。
このように、自らの通貨価値を下げ、債務を重ねる日本の通貨である日本円は、いずれ外貨準備からも外され、ハードカレンシーのポジションから、アジアのただのローカルカレンシーとなってしまうかもしれません。
過去の事例を見返すと、経済危機の際には、ハードカレンシーを主とする外貨準備高を有しない国家が危機から脱することに困窮、また、その逆もしかりでした。
政府により価値が意図的に下げられ、政府債務残高比率が高い国家の通貨である日本円だけで、ポートフォリオが構成されていれば、再び危機の際に、外貨準備が充分でなかった国家と同じ宿命を辿ることとなるかもしれません。
これからもやって来る危機に対するリスクヘッジとしても、日本円の他に、その他のハードカレンシー建ての資産も分散保有することで、分散された投資ポートフォリオを持つことを考えても良いのではないでしょうか?
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